『ガールズバンドクライ』にみる映像表現の特異性 3DCGアニメの新たな文体

ビジュアルとアニメーションの「かけ算」が生み出す3DCGアニメの新しい文体

アニメーションのテクニックのひとつに、実際の人間をコマ撮りしてアニメーションを生成する「ピクシレーション」というものがある。


この「ピクシレーション」という手法が示唆するのは、アニメーションは、ビジュアルと動きの「かけ算」によって、「こういうビジュアルのものは、こういうふうに動くはずだ」という先入観を解きほぐし、見る者をハッとさせる、新鮮な映像体験を生み出すことができるということだ。

TVアニメ『ガールズバンドクライ』に話を戻そう。本作では、本来動かすことを前提としないイラストを忠実に再現したビジュアルを目指す一方、ドローイングアニメーションが得意とする即興的な演技を、わざわざ労力をかけて追求している。

こうして言葉にしてみると、どこかチグハグな印象もおぼえるが、実際の映像には違和感を抱かない。むしろ、新鮮な驚きに満ちている。

ビジュアルとアニメーションの「かけ算」を試行錯誤することで、アニメーションの新しい文体を開発している──そんな印象を抱くのだ。

そしてそれは、物理的な支持体や画材に拘束されず、様々な質感を実験できる3DCGならではの美点と言えるかもしれない。


『ガールズバンドクライ』の物語は今後さらに加速していくことだろう。彼女たちが結成するバンド・トゲナシトゲアリ(現時点の名称は“新川崎(仮)”である)の物語のみならず、その映像表現にも引き続き注目したい。


1
2
3

SHARE

この記事をシェアする

Post
Share
Bookmark
LINE

みんな! このアニメも面白いよ!

作品情報

ガールズバンドクライ

原作・企画・製作
東映アニメーション
シリーズ構成
花田十輝
音楽プロデューサー
玉井健二 (agehasprings)
劇伴音楽
田中ユウスケ (agehasprings)
キャラクターデザイン
手島nari
CGディレクター
鄭 載薫
シリーズディレクター
酒井和男
キャスト
井芹仁菜:理名
河原木桃香:夕莉
安和すばる:美怜
海老塚智:凪都
ルパ:朱李

▼イントロダクション
高校2年、学校を中退して単身東京で大学を目指すことになった主人公。
仲間に裏切られてどうしていいか分からない少女。
両親に捨てられて、大都会で一人バイトで食いつないでいる女の子。
この世界はいつも私たちを裏切るけど。
何一つ思い通りにいかないけど。
でも、私たちは何かを好きでいたいから。
自分の居場所がどこかにあると信じているから。
だから、歌う。

▼TV放送
放送日時:毎週金曜24時30分〜
放送局:TOKYO MX、サンテレビ、KBS京都、BS11

▼配信 [見放題]
配信日時:毎週金曜25時00分〜
配信プラットフォーム:Prime Video、dアニメストア、Lemino、U-NEXT、アニメ放題、J:COM STREAM、みるプラス、Hulu、FOD、DMM TV、バンダイチャンネル、ABEMA

▼レンタル
ビデオマーケット、カンテレドーガ、music.jp、ビデックス、HAPPY!動画、Rakuten TV

関連情報をもっと読む

関連キーフレーズ

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。

コメントを削除します。
よろしいですか?

コメントを受け付けました

コメントは現在承認待ちです。

コメントは、編集部の承認を経て掲載されます。

※掲載可否の基準につきましては利用規約の確認をお願いします。

POP UP !

もっと見る

もっと見る

よく読まれている記事

KAI-YOU Premium

もっと見る

もっと見る

アニメ・漫画の週間ランキング

最新のPOPをお届け!

もっと見る

もっと見る

このページは、株式会社カイユウに所属するKAI-YOU編集部が、独自に定めたコンテンツポリシーに基づき制作・配信しています。 KAI-YOU.netでは、文芸、アニメや漫画、YouTuberやVTuber、音楽や映像、イラストやアート、ゲーム、ヒップホップ、テクノロジーなどに関する最新ニュースを毎日更新しています。様々なジャンルを横断するポップカルチャーに関するインタビューやコラム、レポートといったコンテンツをお届けします。

ページトップへ